パイプカット

パイプとは精巣で出来た精子を運び出す「精管」のことで、「パイプカット」とは精管を切る、男性の避妊手術のことを指します。精管は太さが3mmほどもある結構しっかりとした「管」なので、玉袋の上から自分でも触ることが出来ます。その気で触らないと見つからないのと、一旦みつけたと思っても直ぐに指の間から滑って逃げてしまうので自分で探すのはちょっと難しいかも知れません。元神院長から、どのように治療をするのか実際に手術を診せて頂いた事もあります。この手術では精管を見つけたらその上の玉袋の皮膚を1cmほど切ってその管を引っ張り出します。管を引っ張り出す、とは言っても管の周りには精巣挙筋と呼ばれる筋肉や血管がまとわりついているのでまずはそれらを精管から取り外す作業を行います。そして精管だけになった状態で2か所を糸でしばり、その間を切り離します。断面は良く焼いて術後に管が再開通するのを予防します。あとは中に戻してあげて切った皮膚を縫えばおしまいです。手術そのものは手技的に大して難しくないみたいですが、この手術で重要なのは手術を始める前に精管をしっかりと触って特定しておくことと、精管を正しく処置出来たかの術後の確認ということになります。術後の確認とは、「切り離したものが確かに精管だったのか」ということと「精液に確かに精子が混じっていない」ことの確認です。前者は組織検査で確認します。手術中に切り離した精管の一部を採取して(左右とも)検査に出します。病理医の方が顕微鏡で見て判定をしてくれますので(外注なので数日要します)、これで間違いなく切り離したものが精管だったのか、確認をします。そしてその次の確認が精液検査。これはクリニックに後日改めて来て頂いて精液に精子が混じっていないか顕微鏡で確認します。精管を切っても精子は精嚢という別のところに貯蔵・濃縮されているので、ここが空にならないといけません。クリニックに来て頂く前に10回程度は空打ち(要は射精するということですね)をしてもらってからこの検査を行います。稀に精管が二本に枝分かれしてしまっていることがあるので、空打ちしても精子が残るケースもありますが、本当に稀なので通常はここで精子が無いことが確認できれば晴れて避妊手術が上手く行ったことの確認が出来て治療終了ということになるわけです。最後に注意点を一つ。この手術は基本的に元に戻すことを意図していませんので、万が一「やっぱり子供が欲しくなったので元通り精管をつないで下さい」といわれてもまず無理です。仮につないだとしても中が塞がってしまっていて、見た目はつながっていても中の管が再開通するとは限らないからです。意図せず再開通することはあるようですが、これはこれで稀な現象です。人間の再生能力とはすごいものですが、本当に希な事なのでご安心下さい。
しかし、治療をされる方には条件があります。今まで結婚歴があり、尚且つ子供がいる事。手術当日には配偶者(奥様)の同意書が必要になります。その条件が可能な方は何時でもご相談下さい。


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