陰嚢皮角血管腫は、その名前からも想像できるように、主に男性の「陰嚢(いんのう)」に発生する良性の皮膚腫瘍です。
この病変は比較的珍しくはないため、当院での治療例も多くあります。
ペニス周囲にできるぶつぶつはいくつかの種類があります。
一般的に多いのが、フォアダイス、尖形コンジローマ、真珠様小丘疹など。
ですが、陰嚢(玉袋)にできるぶつぶつにもいくつかの種類があります。
先日のブログでご紹介した「石灰沈着症(多発性粉瘤症)」は白いしこりのような症状が特徴的でしたが、
今回は「陰嚢皮角血管腫」について、詳しく説明いたします。
1. 陰嚢皮角血管腫の特徴
この腫瘍は、肌色から赤褐色の小さな突起として皮膚上に現れます。表面はザラザラとした触感があり、これは角質化した皮膚細胞が組み合わさって形成されるためです。一般的には、これらの腫瘍は無痛で、特に症状を引き起こすことはありません。
2. 発生のメカニズム
陰嚢皮角血管腫の具体的な原因は明らかではありませんが、一部の研究では、遺伝的要因や皮膚の慢性的な摩擦、そして皮膚の老化との関連が指摘されています。一部の専門家は、陰嚢の皮膚が頻繁に摩擦や圧迫を受けることにより、皮角血管腫が発生しやすくなるとの見解を示しています。
3. 診断方法
陰嚢の皮膚に異常を感じた場合、まずは直接視診を行い、診断をします。
診断は外見の観察から始まり、必要に応じて皮膚生検が行われます。生検は、病変を微細に観察し、他の可能性のある病気との区別をつけるためのものです。
4. 治療方法
陰嚢皮角血管腫は、通常治療を必要としない良性の腫瘍です。しかしながら、サイズが大きくなったり、外見上の懸念、摩擦による不快感や炎症、摩擦による出血が頻繁に生じた場合には、治療の選択肢が考慮されます。
-
レーザー治療: この方法は、腫瘍を焼き取るためにレーザーを使用します。最小限の侵襲で、短期間での回復が期待できます。
当院では、電気焼灼と炭酸ガスレーザーを併用して治療を行っております。
血管腫は治療時に出血を伴うため、一個ずつ止血しながら丁寧に除去していきます。
上の症例写真の場合で、所要時間は約15分ほどとなります。
治療の際は局所麻酔を使用しますので、治療時の痛みは一切ありません。
-
外科的切除: 大きな腫瘍やまとまっている場合、外科的に除去することが考えられます。
ケースとしては稀で、ほとんどの場合がレーザー治療が選択されます。
【レーザー治療を行った例】
→
5. 予防と注意
陰嚢の皮膚はデリケートなため、過度な摩擦や圧迫を避けることで、陰嚢皮角血管腫の発生リスクを低減することが考えられます。定期的なセルフチェックを行い、何か異常を感じた場合は早めに医師の意見を求めることが重要です。
総じて、陰嚢皮角血管腫は無害な病変ですが、皮膚の変化に気付いたら、それを無視せず、適切な診察、治療を受けることが必要です。
症状が気になる方はお気軽にご相談ください。